小説の同人誌を発行しようとかんがえている皆さん、サイズって迷いませんか?
小説同人誌は最近文庫サイズが増えているなと感じるのですが、A5サイズや新書、B6サイズも見かけますよね。
今回は、印刷サイズに迷っている方のために、それぞれ私が感じているメリットとデメリットをまとめてみました。
サイズを決める参考にしてみてください!
文庫サイズ(A6)のメリット・デメリット
一般的なコピー用紙(A4)を2回折ったサイズがA6、つまり文庫サイズになります。
本屋さんでずらーっと並んでいる文庫本の背表紙を眺めるのが好きな方、多いのではないでしょうか?
●文庫サイズ小説同人誌のメリット 小説らしいサイズ
文庫サイズというのは、まず一目みて「小説本だ」と分かってもらえるメリットがあります。
漫画同人誌を文庫サイズで出す方はあまりいない印象があります。
一般的に出回っている小説やライトノベルがこのサイズなので、小説としてしっくりくるんですよね。
既製品の文庫カバーが使用できるので、持ち運びもでき読者さんにも好評です。
要するに、いちばん小説っぽいサイズであると言えるかもしれません。
私も文庫で出すことが多いです。
・文庫サイズ小説同人誌のデメリット ページ数がかさむ
文庫サイズ同人誌のデメリットは、何といってもページ数です。
サイズが小さいため、1ページに入る文字数が少なくなり、結果ページ数がかさみます。
ページ数が多いと、印刷費も比例して大きくなるため、文庫サイズにするのには勇気がいります。
印刷費が高くなると、頒布価格も高くなる傾向にあります。
ですが、文庫サイズの小説が好き!という方は、サークル側にも読者側にも多いため、価格に関しては双方納得している印象があります。
※補足と余談ですが、サイズに関わらずページ数で印刷費が決まる印刷所が多いという現状を読者さんが知らないと、本を頒布する側が心無い言葉を投げかけられてしまうこともあるようです。
同じ文字数でも、分厚い文庫より、薄いA5のほうが印刷費は安いです。
新書サイズのメリット・デメリット
新書サイズとは、ビジネス書や論文書などに多い、103×182サイズの本です。縦に細長い本ですね。
●新書サイズ小説同人誌のメリット 細いので手におさまりやすい
新書サイズのメリットは、文庫同様、小説本と分かりやすいことだと思います。また、細いので手に納まりやすく読みやすいです。
新書判の場合、二段組で文章を書く人が多く、1ページに入る文字数も多いので、ページ数の節約になります。
短いセリフの応酬の多い小説や、短い文での改行の多い小説などは、ページの下のほうが空白になりがちなので、新書判にして二段組にし、スペースを有効活用するのもいいと思います。
プロの作家を例にあげると、西尾維新のようなセリフの応酬がめちゃ多い本などは新書二段組が向いていると思います。
●新書サイズ小説同人誌のデメリット 二段組にすると文字が小さくなる
私は新書判の小説同人誌を発行したことがないため、発行して分かるデメリットについてはお話しできないのですが……。
なぜ私が新書判を選ばないかのお話をしますと、単純に「二段組にしたくない」からなんですね。
なぜ二段組にしたくないかというと、見開きにしたときに一度に目に飛び込んでくる文字数がとても多いからなんです。
字が小さくて読みづらい傾向がある上、見開きの情報量が多いため、ページをめくる前に展開が進んでいきます。
右ページの冒頭で投げかけられた疑問が、左ページではもう解決していることなどがよくあり、ページをめくった瞬間うっかり先の展開が見えてしまうことがあり得ます。
紙の本を好む読者さんには、ページをどんどんめくる感じが好きという方も多い印象があります。ページをめくらない時間が長い本は好みが分かれるかもしれません。
しかし、文字のサイズ等に気を付ければ、小説らしいサイズかつページ数も抑えることができるのでデメリットは少ない印象があります。
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B6サイズのメリット・デメリット
本屋さんの新刊コーナーに並んでいる、ソフトカバー・ハードカバーの新刊に多いサイズです。住野よる先生の『君の膵臓をたべたい』が出たころはこのサイズでした(今は文庫サイズが出ています)
なろう系にも多いサイズですね。
●B6サイズ小説同人誌のメリット 版面が大きいので目立つ
私はB6は、小説だということが分かりやすい最大のサイズだと思っています。
A5サイズになると漫画同人誌の人も多く利用するため、手にとった時に『あ、小説か』と言われるリスクがあるのですが、B6はそれが少ない印象があります。
大判コミック誌と同じサイズではありますが、漫画同人誌はB5,A5が多いです。
B6サイズのメリットは、版面が広く文字が大きいので読みやすいことです。
一段組でも二段組でもいける汎用性の高さもメリットですね。
個人的に、おうちで腰を落ち着けて読むのに一番おすすめのサイズです。
また、版面が大きいと、デザイン表紙やイラスト表紙にも幅が出ます。絵師さんに表紙をお願いするときは、サイズが大きいと喜ばれる場合もありますよ。
●B6小説同人誌のデメリット 大きくて重い
B6サイズの小説同人誌は、版面が広いのはメリットなのですが、大きくて重たいというデメリットがあります。
持ち上げたときに手のひらに収まらないので、読むときは机や膝の上に乗せる必要があり、持ち運びには向きません。
実際、B6で200ページの小説本を出したら、読者の方に『重たくて読みづらい』と言われたことがあります。思っても面と向かって言うか普通。
大変貴重なご意見でした。が、私はこだわってB6にしたので気にしていないです。おうちの机でお読みいただければと思います。
また、新書サイズ同様、二段組にすると見開きの情報量が大きくなるため、見開き内でのネタバレのリスクもあります。
A5サイズのメリット・デメリット
本屋さんで見かける文芸書の新刊の、一般的な最大サイズだと思います。
また、小説同人誌を発行するサークルさんも、こちらのサイズを最大としているところが多い印象です。
●A5サイズ小説同人誌のメリット ページ数と印刷費の節約
A5サイズのメリットは、ほとんどの場合に二段組となり版面も広いため、1ページに入る文字数が多いです。よって同じ内容の小説ならページ数を節約できます。
印刷費を節約したい場合や、大きい版面を活かしたいときはA5サイズにするのがいいでしょう。
また、漫画と小説どちらもありのアンソロジーや合同誌を出す場合、A5サイズにする場合が多いようです。
広い版面を活かしてデザイン表紙を凝ったり、絵師さんに思い切り表紙イラストを描いてもらうこともできます。
●A5サイズ小説同人誌のデメリット 漫画本と間違われる
A5サイズで小説本を出すときに私が一番心配なのは、漫画本と間違われることです。絵師さんのイラストを表紙にしている場合、その勘違いが起きやすくなってしまいます。
イベント会場で一般参加者の方が、お手にとってくださったのにちょっとぱらっとページをめくっただけで去っていくと『漫画だと思ったのかな』としょんぼりしてしまいます。
私はそういうのを気にしてしまうタイプなので、A5で本を出すことはなるべく避けています。
また、A5は1ページに入る文字数や情報量がとても大きいです。
星新一のようなショートショートだと見開きだけでオチまで読めてしまうことがあります。
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結局どのサイズがいいの? 目的と好みで使い分けよう
ここまで長々と話していてなんですが、結局どのサイズで出すかは、本人次第なんですよね。
文庫で出したいなら文庫で、A5で出したいならA5で出しましょう。
私の場合、新刊はなるべく文庫本で出しています。
やはり文庫って小説っぽいですし、移動中などに読んでもらいやすいからです。
ですが、Webで公開したものを本にまとめる場合や、再録本を出す場合はB6等の大きい本にします。
それは、Webでも読める作品であるため、印刷費と頒布価格を抑えようと考えているからです。
単純に、気分でサイズを決めることもあります。
初めてB6の本を出した時は『君の膵臓をたべたい』を読みながら「B6もいいな」と思ったという単純な理由でした(笑)
コピー本やペーパーを作成する場合は、A5サイズにすることが多いです。
A4のコピー用紙が手に入りやすいことや、コンビニ印刷がやりやすいことが理由です。
また、短編などは、A4用紙1枚に収まれば、折って無料配布などがやりやすいですね。
メリットとデメリットをたくさん書いてしまいましたが、文字の大きさや余白などを工夫することで、デメリットを解消することもできます。
なのでここに書いてあることはあくまで私の場合です。
参考程度にとどめ、工夫して楽しく本を出して欲しいと思います。
結局楽しいのがいちばん
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