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こんにちはキダチです。
買いましたよ~!同人女の感情こと『私のジャンルに”神”がいます』の第2巻!
今回の連載も毎回楽しみにしていたので書籍化して嬉しいです。書き下ろし含めてずっと楽しみにしていました。
この記事では感想を書こうと思います!YouTubeでも感想回をやりましたが、私個人の感想も文章に残しておきたいと思いました。
目次
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さまざまな立場の『同人女』にフォーカスした2巻
1巻は、綾城という「神字書き」とその取り巻きを中心に、七瀬をはじめ色んな同人女がクソでか感情を爆発させるというお話が多かったですね。
おけけパワー中島というムードメーカー&トラブルメーカーは、毎回トレンド入りするほど話題になりました。
が、2巻はそんな綾城やおけパがなりをひそめ、色んな同人女にスポットライトが当たりましたね。
十数年前のジャンルの人、子育て中の主婦など、描かれる立場が色々だったので共感できないお話も多かったかもしれませんが、私は2巻ならではの新たな視点だなあと思って楽しく読みました。
せっかくなのでひとつひとつ感想を書いていこうかと思います。
一度はネットでの連載を読んだ方向けの記事になっておりますので、未読の方には分からない部分も多いと思います。
最後に書き下ろしの感想をネタバレ少なめで載せていますが、まだ読んでない方やネタバレ踏みたくない方は最後の見出しの前でストップしてくださいね。
斜陽ジャンルに舞い降りた神
1巻に友川さんの友人として登場した、むぎ&みつばのお話。
2巻の中ではこのお話が一番好きなので、この話の感想が一番長いかも。
おそらくホビアニであろう『バトコア』という放送終了したアニメジャンルで、ほそぼそながら楽しく活動しているむぎのシーンからスタート。
人が減り続けるも根強いファンが支える斜陽ジャンルに、突然みつばちゃんという勢いのある新規さんが参入するというお話。
同人活動しながらがっつりOLしているシーンが描かれたのはおそらく初(登場人物には今までもOLはいましたが)なので、むぎちゃんのオフィスのシーンとか親近感湧きました。
放送終了して人が減り行く中創作を続けた経験が私にもあるので、落ち着いていながらも平和だった界隈に、突如新規の人が現れたら情緒が乱れるのも分かります。
新規の人のほうがハマりたての熱量と勢いがあるし、すごいスピードで作品を量産します。公式からのリアルタイムな新情報がなくなり、急いで作品を執筆する必要がなくなっていた古参からすると脅威なわけですよ。
すくすく伸びるみつばちゃんに焦り、筆を置いてしまったむぎちゃんのシーンは心にきました~。
しかし、新規のみつばちゃんにとっては、前からジャンルを支えているむぎちゃんは憧れの存在!っていう描写もすごくよかったです。イベント会場で名乗らず去っていたり、短い作品ばかり書いてるから長編を書ける人を羨ましがったりしていたのもよかった。『誰にでも悩みがあって、誰にでも得意・不得意がある』と、相手の立場になって物事を考えることの大切さのようなものを学んだ気がします。
私がみつばの立場だったら、長い間長編をコンスタントに更新し続けているむぎの存在は、老舗の料亭みたいな佇まいに見えるだろうなと思います。
それから、話の途中に登場したネイリストさんが、おけパなんじゃないかと話題になりましたよね。
顔が出ないし、話している内容やその他の情報から、あれはほぼおけパ確定と言ってもいいと思います。
身近にいるすごい友達は綾城さんだろうし、『神のオマケ』というワードも言われるだろうな~~~つら~~~~と思いながら読みました。
おけパみたいに底抜けに明るい(明るく見える)人も、やっぱり悩みや乗り越えた色々があるのです。
『誰に何を言われようと…私は私の一番のファンですから!』
これはおけパらしきネイリストさんの言葉ですが、好きなセリフのひとつです。
自分に自信がない方、自分の作品に自信がない方に届いてほしい言葉だと思いました。すぐに変わるのは難しいかもしれませんが、自分の作品が世に出ることを、誰よりも望んでいるのは自分だと意識すると、他人や周りに振り回されにくくなります。
「私の作品なんて……」と卑屈になっている人の作品よりも、「これが私の力作です!」と自信をもって紹介している人の作品のほうが魅力的に見えるはずです。
『今までの既刊…全部取っててくださって本当にありがとうございます!!』
これはイベント会場で初めてむぎちゃんに会ったときのみつばちゃんの言葉。
古参にとってこれほど嬉しい言葉はないし、新規さんにとっては昔出された本がずっと残っていることは有難いこと。
このセリフ読んだとき、どっちの気持ちも分かりすぎて涙出ました。
『人と比べて焦ることないですよ ライバルは自分自身ですから!』
これはむぎちゃんのラストのセリフ。
ネイリストさんに言われた「私は私の一番のファン」という言葉をきっかけに、むぎちゃんがたどり着いた結論はこれなんですね。
他人や周りの空気に振り回されず、自分のために頑張って、昨日の自分を超えていくことが大事なんだなーと思いなおしました。
むぎちゃんとみつばちゃんが、今後数年にわたり、最後の二人になるまでバトコアで書き続ける未来が確定している(1巻参照)のもいいですよね。
出戻り同人女の感情
こちらは就職や結婚や子育てを機に同人から離れていた女性が、お子さんが見ているアニメをきっかけに創作活動に出戻るお話。
主人公が既婚、そしてお子さんがいるということで、該当しない読者さんたちからは『(主人公のなかで)一番共感できない』と良くも悪くも話題になっていました。
一方、同じようにお子さんがいらっしゃる方からは共感を得ていましたね。「そう上手くはいかないでしょ」みたいな現実的な意見もありましたが盛り上がっておりました。
私のブログの読者さんやYouTubeのリスナーさんには出戻りさんはとても多いです。
おたよりをたくさん頂くようになるまで知らなかったのですが、扱っている内容の性質上『出戻りだから今の同人界がわからん』という方が集まっているみたいです。
なので、私のラジオでいただくおたよりについては、この回が一番盛り上がりました。
同人女の感情で今まで描かれてこなかった部分ですし、まさか描かれるとは思っていなかったということもあり、該当する方は嬉しかったんだと思います。
共感できるって楽しいですよね。
葵さんのお子さんのめいちゃんが作画崩壊しているのが可愛かったですよね。
真田さんご自身にお子さんがいらっしゃるのかどうかは分かりませんが、『解像度が低い』という意味でああ描かれているのだとしたら上手いなと思いました。
私は一人暮らしなので、家族がいる方の苦労とは無縁ですが、忙しい中創作されている方のことは本当に尊敬します…!
『いくつになっても楽しく書いていられたらいいなあ~!』
この言葉に励まされた人がどれだけいるだろうか。
作中では妹さんに「いい年してみっともない」「せめて母親らしい趣味にしたら」と言われるシーンがあり、それもグサグサ刺さったことでしょう。身内に言われるのが一番辛いんですよねえ。
それでも、趣味をきっかけに家事や仕事、子育てのモチベーションが上がったり、生き生き楽しそうにしたりする葵さんの姿には私も励まされました。
いい年こいて何してんだ、と我に返ることが私だって無くはない。でも、いくつになっても何かしら書いていたいなあと思わせてもらいました~!
大国の小村
待ってました七瀬回。第1巻の連載時、物議をかもし多くの共感を呼んだ(?)七瀬さん久しぶりの登場です。
旬のメジャージャンルにいながら、追加エピソードをきっかけにマイナーなカップリングにハマる七瀬の奮闘記……かと思いきや、マイナーでも人脈でアンソロを立ち上げるおけけパワー中島伝説回でしたね(笑)
ジャンルはメジャーだけどカプはマイナー、という境遇に関するあるあるネタがもっと見たいなという感想は正直ありましたが、七瀬のおけパに対する感情を読んでいるとこれこれこれこれ~~~待ってたよ七瀬~~~~ってなりましたね。
『同人誌は こんな本があったらいいな 読めたら最高だなっていう夢!!』
同じマイナーカップリングでも、おけけパワーには人脈があり綾城がいる……そんな不公平さに打ちひしがれていた七瀬がイベント会場で『M×Cなんて誰が読むの?』というおけパ主催のアンソロについて言われているのを聞いてしまった時の独白です。
需要があるとか無いとかではなく、自分が書きたい・読みたい・誰かと共有したいという想いで書くのが同人誌なのです。
多くの人は、売れるから・需要があるからという理由でカップリング小説を書いているわけではないと思います(中には人気をきっかけにジャンルやカプを知る方もいるので一概には言えないことだけ追記しておきます)
その作品が、二人が好きだから!が同人誌を発行するパワーに繋がっているはず。
数字にしか目がいっていない人の心に刺さるであろうこの言葉をピックアップしてみました。
『な…中島ァ…!』
おけけパワー中島さんが『私の人徳がありすぎるばかりにこんな神本が出来てしまった…』とアンソロのあとがきに書いているのを見てしまった時の七瀬の心の中です。
やっぱり七瀬はこうでないと!と嬉しくなっちゃいました。
おけパさん、自分に自信があるところ、自分が大好きなところが美点だと思うのですが、その分嫉妬を買いやすいという絶妙なキャラクターですよね。
でもなぜか憎めない……そんなおけパの魅力と七瀬の関係がこの一言ににじみ出ていてめっちゃ好きです。
2巻の1話目のネイリストさんのお話を読んだあとですし、七瀬も気づいている通り「大手への擦り寄り」とか色々言われているみたいなのでおけパにも色々あったんだろうな~と思わせてくれる回でした。
大好きなお話ですが、大国の小村あるあるをもう少し見ていたかったという気持ちはありますので、このお話をきっかけに七瀬が今後どう立ち回ったのかについて続編があるといいなーと思ってます!
あの頃の同人女
2巻収録分のWeb連載最終回は、なんと20~30年前の同人界が舞台!コミケの会場は晴海、小説原稿はワープロ!、入稿は宅配という時代。
オタクの情報源もネットじゃなくて雑誌なんですよね。
私もこの時代のことは知らないので『伝説として聞いていたやつだ~~』って思いました。
ノートに小説を書いた経験はわたしもあるので、ノートに初めての小説を書くシーンや、それを人に見せて苦い思いをするシーンなどは共感しまくりで涙出ました(ずっと泣いてる)
『書きたい… 私も愛を表現したい!! 同人誌を作ってみたい!!』
コミケで良い本と出合った好野さんが創作に目覚めるシーン。
初めて創作をする人の感情はその時の一瞬だけのものなので貴重ですよね。
ずっと浴びていたい。その感情だけを凝縮して結晶化できるならしてほしいくらいです。
七瀬は同人誌は夢と表現していましたが、このお話では終始「同人は愛だ!」と語られていました。オタク、同人にかける熱意がすごいですよね。
私も通話サービスやおたよりで、初めて同人誌を出す方、初めて自分の本を手に取った方の感情に触れる機会があるのですが、何度聞いても、誰から聞いても元気もらえます。
『ワープロが無い…!!』
好きなセリフというより思わず笑っちゃった台詞です。後半、手書きの原稿をデジタルに転記するシーンは印象的でしたね。
まだパソコンが一家に一台というほど普及しておらず、ビジネスシーンではワープロが使われていました。しかも、それをお父さんが仕事に持って行ってしまったら詰み!
今みたいにPCの貸し出しやネットカフェもなく、好野さんのタイピングがめちゃ遅いのもリアルでした。
私も昔、父親のおさがりのノートパソコンで小説を書いていた経験があるので懐かしくなりました。あの頃はパソコンが壊れてもお小遣いでは直せないし、父親が「使うから」と持って行ってしまえば使えなかったので、そんな中よく書いていたなあと思います。
今では同人誌の印刷所は、どこも小説原稿に対応しているのでありがたいですね。
私は便利な時代になってから同人を始めた人なので、さすがに晴海時代の同人については分からないのですが、まだ小説同人誌の扱いに弱い印刷所があったころを知っているのでちょっと懐かしくもなりましたね。
ここから下は、書き下ろしについて話しています(ネタバレは控えめ)
書き下ろし:おけけパワー中島の憂鬱
あの明るく恵まれているように見えるおけパにも、こういう一面があるんだ、こういう想いがあるんだ、こんな嫌な思いもしてきたんだ、ということは本当によく分かる回。
綾城と中島の間にしかない友情や感情も描かれていました。
おけパさんは他人の目線でしか人となりが分かりませんでしたが、このお話を読んで初めておけパ視点の感情を知ることができてよかったです。
そして、たとえ誰かにどんな感情をもったとしても、傷つける言葉を送ってはいけないなと強く思いました。
このお話を読んで嫉妬に狂う七瀬、すごく見たいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
勢いに任せてがーっと書いちゃいましたが、以上が私の感想です。
2巻は1巻にくらべてインパクトがない、パワーダウンしているというご意見も見かけましたが、私は1巻がセンシティブだったぶん、2巻はこれでいいと思っています。
もし3巻があるなら、今度はどんなオタクあるあるを描いてくれるのかな~と楽しみです!
長くなりましたが、ここまで読んでいただいてありがとうございました!
1巻の感想はこちら!
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