そもそも「ゆるパク」っていうちょっと可愛い語感なのが良くない。
最近、二次創作界隈でも「ゆるパク」という言葉をよく聞くようになりました。
コピペやトレースなどのあからさまなパクりではなく、先に発表された作品とどこか似ていたり、誰かのツイート内容そのままじゃないか?という判定が難しい作品のことを言うそうです。
二次創作はそもそもグレーだからパクりとは言わない、という尖ったご意見も見かけます。ですが二次創作にも、パクりは存在すると私は考えます。
「二次創作は著作権的にグレー」という免罪符を掲げれば、誰かの作品を真似してもいいのでしょうか? 二次創作ジャンル内の人間関係は確実に壊れてしまいます。
今回書きたいのは、ツイッターなどに潜む「ゆるパク」予備軍のお話です。
無自覚でも自覚があっても、もしかしたらやっちゃってるかもしれない事例をまとめてみました。
同人作家として、ゆるパクはしたくないですし、されたくないものです。
誰かの妄想ツイート内容をもとに作品を作る
これありがちかなと思っております。
「こういうシチュエーションの推しめっちゃ良~!」と呟いた次の日に、フォロワーの絵師さんまたは文字書きさんがその内容を作品にしていたら、あなたはどう思うでしょうか?
「かいてくれてありがとう!」と思う方もいれば、「私が呟いてた内容じゃん……」と思う方もいると思います。
しかも「それ、私がツイートしてた内容ですよね」とは言いづらいです。
自分が呟いた内容が、次の日にはその人の作品になっていることが、 一度だけならまだしも、度々続いたらどう思いますか? しかも、その方はあなたのツイートが元ネタだとは一切説明してくれません。
これは残念ながら、作品をかいた側が確信犯だとしても、盗作にはならないと私は考えています。ただ、ツイートしたネタを毎度勝手に作品にされてRTやいいねを稼がれるとたまったものではありません。罪にはならないとしても、その人への不信感はつのるでしょう。
最初は「かいてもらえて嬉しい!」と思っても、何度もやられるとだんだん嫌になってくることもあると思います。
対策としては、
・自分がかきたいと思っている内容は絶対に呟かない・言わない
・もし自分の発言が元ネタだなと思った作品がアップされたら、いいねしたり、感想を伝えるなどのアクションをとって様子をみる
・TLをネタ帳だと思っている作家さんからは離れる
人のツイート内容を見て作品を書くことが悪いことかどうかはさておき、された側はその人を尊敬しません。そして、そういう事を後ろめたさ無くやってしまう人は、いつか大きな「やらかし」を悪びれもなくやってしまうような意識や価値観を潜在的に持っていると思います。
二次創作でネタ被りはありがちですし、誰も呟いていない内容をかくというほうが難しいです。しかし、問題はシンプルで、本人が確信犯なのかどうか。それだけなのです。
たまたまの場合はネタ被りもその一回だけでしょう。
内容が細かいところまで酷似していたり、回数が続くと「どう見ても偶然じゃないだろう」という確信が強まるはずです。その時は、そっとフォローが外れているかもしれません。
難しいのは「TLで見た内容が脳内に印象として残っていて、それが自分のネタかどこかで見たネタかがわからなくなっている」パターンです。こういうタイプの人は悪気はないのでフォロワーにいると厄介です。なので「自分がかきたいネタは呟かない」のがやはり有効です。
わたしが経験した例ですが、昔なんとなく「ごめん寝してる〇〇くん絶対かわいい」と呟いたら数時間後に「猫耳の〇〇くんがごめん寝してるイラスト」をフォロワーの絵師さんがアップしたことがあります。〇〇くんは人間で猫耳は生えていません。
この事例、どう判断しますか?(笑)
私は小説書きなので、猫耳のごめん寝してる推しを書く機会はありませんので、スルーしました。
こういうちょっとした思い付きならオイオイと思うだけで済みますが、自分の創作意欲のモチベーションにもなっているような、練りに練ったネタが盗られたらしょんぼりです。やっぱり作品にするまでは呟かないのがいいですね。
直接話した相手にネタをパクられる
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続いてはこのお話。
「こういう話をかこうと思ってるんだよね~」と話したら、相手がそのネタで作品を出しちゃった!というパターンです。
これは私が経験した事例をお話しします。
ある時、私は私しか書いている人がいないようなドマイナーなカップリングにハマっていました。(ちなみに、あるスポーツアニメの、主要人物ではない子同士のカプです)
同じカプの同志がいない、あるいは見つけられていなかったので、私が推している二人と同じチームの主要キャラクターを推している方と仲良くさせていただいてました。
そして、その方と度々Skypeで通話をしていたので、私は自分の妄想をその方に話すことで、そのカプを好きだという気持ちを発散しておりました。
名前とプロフィールしか公開されていないような、目立たないキャラ同士のカップリングだったので、私の作品にはその子たちに対する妄想という名の捏造が多大に含まれておりました。
その捏造部分や、自分のキャラクター解釈、このカップリングがどういう結末に着地するのか、どんな話を書いている途中か等を、ほとんど全部話していたと思います。
ある日、私はほかの方が描く(書く)そのキャラクターが見たいと思ったので、チームまるごとを題材にしたアンソロジーを企画しました。
カップリングは要素ありですが、キャラクターが偏らないよう、参加者様にはできるだけいろんなキャラを登場させていただきました。
そんな中、私のSkypeの通話相手が、私の推しているカップリングを書いてくれると言ったのです。
その時の私の舞い上がりようったらなかったです。他の人がかく推しカプが楽しみで楽しみで仕方ありませんでした。その方は同ジャンル内の文字書きの中でも、人気の作家さんだったからです。
しかし、提出されたその人の作品を見たら、私がSkypeで話した内容そのまんまでした。しかも、当時pixivで連載していた長編の結末部分を書かれてしまったのです。
すでに中盤までpixivに掲載していた作品で、これから結末に向かって執筆していくのだと、通話で話してもいたのです。
無自覚にしてはちょっと……と思いつつ、主催として「受け付けました」の連絡をするために通話しました。
それとなしに、「私が妄想していた通りのA×Bで感動しました~」と言ってみたのですが、相手から返ってきた言葉はなんと「泥棒みたいなことしてすみません! でも書いててとても楽しかったです!」でした。わざとって自分で言っとるやないかーい!私はその方が私のアイデアを使って書いた作品を、アンソロジーに載せました。
わたしはこれをパクりだ!と訴えることはしませんでしたし、それ以上指摘もしませんでした。
私はまだプロットの段階のものを話しただけで、作品にはしていませんし、その人は私の話をもとに「自分なりに」作品を書いたのだと思うからです。
しかしこの件は「もともと私しか書いている人がいないようなマイナーカプ」で、相手はアンソロ参加をきっかけに初めてそのカプを書き、しかも「泥棒みたいなこと」という自覚があったという点でショッキングでした。
私が話した内容を、私のアンソロに提出された、嘘のような本当の話です。
これは今でも私のトラウマになっています。
その方とは、その後別ジャンルになり今ではTwitterもつながっておりません。
盗まれてしまった結末ですが、私は自分の言葉で精いっぱい形にしました。物語の中盤まではすでにpixivにアップしてあったことと、このカップリングといえば私、というキャラが同ジャンル内で出来ていた(ように思う)のが幸いでした。
めちゃくちゃ落ち込んで悔しくて、表紙を描いてくださっていた絵師さんにも泣きながら愚痴りましたが、なんとか形にできてよかったです。
これ以来、私はリアルの友人以外にプロットの内容は明かしていません。同カプ同ジャンルの人には特に話しません。むしろ完成させてから見てもらうように心がけています。
このように、人に話した内容を相手に使われてしまう、という例は珍しくないと思います。オフ会でAさんがBさんに自分のネタを話したら、近くの席で聞いていたCさんがそれを作品にしてしまった、という例もあるそうです。
大事なネタは作品にするまで人には話さない、というのを徹底することでしか避けられません。自分の解釈は人より先に発表しましょう!
それから、人をネタ帳だと思ってそうな人からは離れましょう。
作ろうとしていた作品と、誰かの作品やツイートが被った場合
たまたま自分がかいている途中の作品が、すでに発表されている作品と似ていることに気づく場合や、作品を書いている途中で誰かが同じことを呟いているのを見かけてしまう場合ってありますよね。
アイデアを考えたのは先だったとしても、作品の発表は後になるので、このままでは自分がパクったみたいになってしまう!という状況、誰にでもあり得ると思います。
確信犯で真似をするのはダメですが、図らずも似てしまった場合、一番平和なのは本人に一言ことわりを入れることです。
「今かいている作品がまさにそんな感じなんですよ」と話しかけてみたり「あなたの作品と似通る部分が出てきてしまったのですが……」と話しかけてみるなどして、コミュニケーションをとればまずトラブルにはなりません。
人と被ってしまうくらい、定番になっているネタやシチュエーションでしたら、普通は「どうぞかいてください!」「むしろあなたのかく〇〇シチュが見たいです!」って言ってもらえると思いますよ。
必要があれば、あとがきに「とある方の作品と似てしまったので思わずその人に連絡をとりました(笑)」とかエピソードとして書いておくのもありです。
私の友人は、推しカプの旅行本のプロットを完成させ、あとは執筆するだけ!というタイミングで、別の方の本で推しカプの旅行先が被ってしまったということがあり、その方に連絡をとっておりました。結果、その方と仲良くなっていたし「気にせず書いてくださいよ~!むしろわざわざご連絡ありがとうございます」と言ってもらえていたので、やはりコミュニケーションって大事だなあと思った次第です。
しかし、コミュニケーションが必要かどうかは、どの程度似通ったか、その人とどれくらいの距離感なのかによっても違ってくるので、ご自分で判断しましょう。
大切なのは、不安要素を取り除いて作品づくりをすることです。
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この記事を書きながら考えたこと
折に触れて言いますが、私は「それ本当の話?」「それってパクりって言える?」っていう判定をしたいのではありませんし、この記事を読んだ人に、判定してほしいわけではありません。
Twitterで呟いた内容、話した内容は、相手に自覚があるないにかかわらず、使われてしまう恐れがあることを知ってほしいのです。
この記事を読んでくださった方はぜひ、いいアイデアを思い付いたのでしたら、作品として発表するまで大事に温めてくださいね。
「このネタわたしが本にするからパクるなよ!」と先制ツイートをする方もいそうですが、そういう方は呟いてないではよ本にしていただければと思います。
「自分も無意識にやってしまうかもしれない」と思う方もいるかもしれません。ですが、作品づくりに尻込みする必要はありません。
自分が作品を作るときに、誰かを傷つけてしまうような作品の作り方をしないように心がけるだけで良いのです。
この記事が、誰かのこれからの同人活動を充実させるきっかけとなれば幸いです。
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