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神絵師がいるなら神字書きもいていいじゃない!同人小説がもっと楽しくなる考え方!

 

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 人小説を書いていると、どうしても付きまとうのが「漫画の同人に比べて読まれない」という劣等感です。

 しかし、小説を書いているひとは、それが好きだから書いているはずで、読んでいる人は好きだから読んでいるはず。それだけに、劣等感を刺激されたり、好きなものを否定されるような事を言われると落ち込んでしまいます。

 アンソロに小説はいらないとか、イベントで本を手に取ってもらったと思ったら「小説かあ」という反応をされてしまったりとか。よくある事とはいえ、やはり落ち込みますよね。

 しかし、小説のいいところや、小説の強みを理解すれば、小説を読むのが楽しくなります。書いている人も、小説の強みや面白さを意識して文章を書けば、自分の作品に自信を持てるのではないかとも思います。

 

 というわけで、小説のいいところやメリットを、並べてみたいと思います!

 これを読んだ文字書きさんと、小説のファンの方が元気になってくだされば幸いです。

 同人に限らず小説全般に言える「いいところ」もあるのですが、ここでは「二次創作の同人小説」に限定してお話します。

 記事の性質上、漫画と小説を比べる発言が多いですが、絵や漫画を否定する意図はありません。

 

それでは早速…

同人小説のいいところ!いってみましょう!

 

1.読者の脳内は常に好みの神作画

 

 絵や漫画の同人をみるとき、みなさんはどうしても「絵の好み」で選ぶと思います。話は好きだけれど、絵はこっちの方が好き、と無意識に考えていると思います。

 絵師さんも悩んでいると思うのですが、絵が好みでないからと、本を手に取ってもらえないこともあるでしょう。

 それに比べて小説は、読者さんの想像力の限り、どこまでも好みに描かれるのです。

 

 推しの「とびきりの笑顔」を描くのに絵師さんは大変な苦労をされると思うのですが、文字書きにかかれば「推しのとびきりの笑顔」と書くだけで、読者さんは自分好みの推しの笑顔を想像してくれるのです。

 極端な話、豪華な宮殿を絵で描くのは難しいですが、文章では「豪華な宮殿」と文字で打ち込むだけで読者の脳内に宮殿が現れるのです。

 

 つまり、読者さんは文字を読んで想像することを楽しみ、文字書きさんは読者さんの想像力をかき立てるような文章を書くと良いでしょう。

 細かく何もかもを描写する必要はありません。想像の余白を残すことも、文章のテクニックのひとつです。

 

 ちなみに、「私は絵の好みよりも、話の好みで漫画を選べます」という反論が聞こえてきそうですが、そんなあなたは小説を楽しむこともできる方です。もし同人小説をあまり読まない方でしたら、是非小説も読んでみて欲しいと思います。

 

 

2.情報を詰め込み読者の想像力を膨らませる

 

 小説の一番の強みだと思っているのは、ひとつの話を読んだときの情報量です。

 絵で伝わる情報と、文章で伝わる情報は違います。絵で伝わる情報は視覚情報ですが、文章では目に見えているだけでは分からない、裏の情報や背景を描くことができます。

 たとえば、この文章を見てみてください。

俺は朝、目覚まし時計に起こされた。ベッドから出て、洗面所で歯磨きをした。

 分かり易くシンプルな文章にしてみましたが、これは絵でも表現できる内容です。

 主人公がベッドから手を伸ばし、目覚まし時計を止めているところを絵にすれば、読者も自然と時間は「朝」だと認識します。

 

 では、次の文章はどうでしょうか。

 俺は入社式の日の朝、うるさく鳴り響く目覚まし時計を、乱暴に叩いてとめた。この目覚まし時計は中学校に上がる時に両親からプレゼントされたものだが、寝起きの悪い俺に毎朝付き合って、よくここまで壊れずにいてくれたと思う。まだ寝ていたい。俺はだるい身体を引きずるようにベッドを出て、歯磨きをするために洗面所へ向かった。

 同じく起床するシーンですが、これには絵で表すことが難しい情報が入っています。

 

・その日が入社式であること。

・目覚まし時計は両親からプレゼントされたものであること。

・中学生のころからずっと同じ時計を使っていること。

・主人公は普段から寝起きが悪いこと。

・まだ寝ていたくて身体がだるいこと。

 

 これらの情報を漫画の一コマで現すことは難しいですが、文章ではたった数行です。カップリング小説なら、時計をプレゼントしたのはこの主人公のお相手でもOKですよね。お相手からもらった時計を乱暴に叩いて止めているところに、萌える方もいることでしょう。

 

 主人公が目覚まし時計を止めるシーンを書くたびに、時計をプレゼントされた時のエピソードを小出しにすることもできますよ。

 また、「まだ寝ていたい」などの台詞や表情には出ていない心境をいくらでも語れるのも強みです。

 

 このように、アニメやドラマならたった数秒で過ぎ去るシーンに、小説ではたくさんの情報を詰め込むことができます。

 漫画では話の本筋に直接関係ない情報を描写するとテンポが悪くなってしまいますが、小説はダラダラと長くなりすぎない限りは好きな要素を詰め込むことができます。

 ひとつの話を読んだときに得る情報の量は、読者さんをじっくり満足させてくれるのです。

 

 さらに、読者さんの脳内では主人公が動くのです。

 絵や漫画では、一枚の止め絵として見たままの情報が視覚から飛び込んできますが、小説では文章を読んだ読者さんが想像し、脳内で主人公を動かしてくれるのです。それも読者さんの好みの作画で(笑)

 

 漫画や絵が視覚的に与える情報ももちろん多いです。主人公の容姿や寝癖のついた頭、散らかった部屋、古くなっている目覚まし時計などが、一瞬で読者の目に飛び込みます。

 

 情報が飛び込んできて理解するまでの時間は圧倒的に、文章より絵のほうが短いです。だから神絵師と呼ばれる人たちの絵や漫画はネットで拡散されるスピードも段違いなのです。

 なので、そもそも神絵師のRT速度に劣等感を感じる必要はないのです。だって、小説を読まずにRTされても嬉しくないでしょう。数秒単位でRTされる絵と小説を比べるほうがおかしいのです。

 

 それなら小説は、漫画や絵では表現するのが難しいことを表現し、それを楽しめばいいのです。

 文字書きさんはそれを意識して執筆し、読者さんは想像力を刺激する情報を楽しみましょう。

 

 上手い文章の基準って実はよく分からないのですが、私は「絵師さんや漫画書きさんにはできないことをしている」と思って自分を奮い立たせています。

 また反対に「小説にできなくて、絵師さんや漫画描きさんにできること」を知り、お互いを尊重することにもつながります。

 

 文字書きは、情報で読者さんの想像力を働かせましょう。

 読者さんは、一作品に込められた情報量で想像力をフル回転し、作品の世界に没頭しましょう。

 

 

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3.どこでも書ける どこでも読める

 

 どこでも、は大げさですが、これは物理的なメリットです。

 同人小説というのは基本的に文字ばかりですので、電車などの人の多いところでも読みやすいです。書籍サイズに製本されたものなら、カバーをかければ外でも読めると思います(※どこかに置き忘れないでくださいね!)

 

 書く側としては、喫茶店やファミレスなどでの執筆がしやすいのもメリットです。スマホひとつあれば、クラウド上でPCと同じ文章を編集することも可能です。

 いつでもどこでも、隙間時間に書ける、という事を活かして執筆スピードを上げることも可能です。

 

 読者さんにとってみれば、小説は読むのに時間がかかりますので、バスや電車の待ち時間、休み時間、役所や銀行の待ち時間などに大活躍します。

 同人小説を読む時間が無い、という方は「他にすることが無い時間」がきっかけでもいいです。是非同人小説を読んでみてください。

 

 

まとめ: 違いを悲しむのではなく、違いを楽しみたい

 

 同人誌というのはざっくり分けて漫画の本と小説の本があり、それぞれ特徴も楽しみ方も違います。作家としても作品としても、対等な立場であって欲しいと思っています。

 「アンソロジーに小説はいらない」「なんだ小説かあ」と言う人がいるように、逆に漫画より小説が好きな方もいるはずなのです。

 

 なのになぜ、小説作品を貶めるような発言ばかりが目立ち、議論されているのでしょうか。

 拡散されてくる議論は同人小説を批判、または擁護するものばかりなのでしょうか。

「逆に漫画がいらない。小説のみのアンソロが読みたい」という発言が拡散されたとしても、それが単に発言者の好みとして捉えられ、絵師disには聞こえなさそうなのが不思議です。

つまり…

「アンソロに小説いらない」……小説disとして炎上する。

「アンソロに漫画いらない」……発言者本人の好みとして認識される。
 そんな気がしますがいかがでしょうか(私の主観です)

 私がこう感じてしまうのも、同人界隈では文字書きの劣等感がまだまだ強いからなんだろうなと考えます。

 この記事を書いたのは、同人小説を書く人も読む人も、「小説が好きであること」に自信をもって楽しんでほしいと思ったからです。

 またこの記事を、同人小説をオススメするときの材料にしてもらえればとも思っています。

 

 絵と漫画という、本来特徴も得意なことも違うはずの作品と比べられ、悲しい想いをする方が少しでも減るといいなと思っております。

 そして、この記事を読んで、絵と漫画、文字と文章のそれぞれの良い所と楽しみ方の違いを理解し、どちらも尊重できる同人界になって欲しいなと願っております。

  何より私自身が、同人小説書きですからね。楽しく活動したいです。

 

 最後に、タイトルに神絵師・神字書きという言葉を使いましたが、私自身はこの呼称にはあまり前向きな感情を持っていません。

 絵師ばかりもてはやされる現状に、文字書きとしてちょっとモヤったのでこの記事を書きました。

 小説には小説のいいところがあるので、ぜひ好みの作家さんを探してみてください。

 

 それでは、長くなってしまいましたが、

 ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

 

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